ー不動産売却で確定申告!不要ケースでも節税できる可能性がある?ー
2024.1.17
・不動産売却で確定申告が不要なのかわからない
・利益が出ていなくても確定申告は必要?
・必要だった場合の手続きは?
不動産売却時に考えなければならない確定申告について、上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、確定申告が不要でも、確定申告をしたほうが節税できるケースについて解説します。
また、確定申告を行うための具体的な手順についても説明します。
この記事を読めば、不動産売却時の確定申告について理解できるでしょう。
不動産売却の確定申告で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
不動産売却で損失?確定申告で節税できる場合あり
不動産を売却したときに損失があると、譲渡所得が発生しないため、確定申告は必要ありません。
しかし、以下の内容に該当する場合は、確定申告をすることで節税できる可能性があります。
①マイホームを売却したが、譲渡価格が住宅ローンの残高よりも低かった
②マイホームを売却して、新居を購入する際に住宅ローンを借り入れた
上記のケースに該当する方は、損益通算や繰越控除の特例を適用できます。
ここでは、節税ができる特例についてそれぞれ解説します。
①マイホームを売却したが、譲渡価格が住宅ローンの残高よりも低かった
マイホーム売却時の譲渡価格が住宅ローン残高よりも低い場合は、「マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用できる可能性があります。
この特例は、住宅ローンの残高を下回る価額でマイホームを売却して譲渡損失が生じた場合に、ほかの所得から控除(損益通算)できます。
さらに、損益通算でも控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の翌年以後3年間繰り越して控除(繰越控除)できます。
適用のためには以下の要件が必要です。
・マイホームを譲渡すること
・譲渡の年の1月1日における所有期間が5年以上経過していること
・譲渡したマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
・譲渡価額が住宅ローンの残高を下回っていること
上記を参考に、特例が適用できるか確認してみましょう。
参考:国税庁 No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
②マイホームを売却して、新居を購入する際に住宅ローンを借り入れた
マイホームを買い換える場合は、「マイホームを買い換えた場合の損益通算及び繰越控除の特例」を適用できる可能性があります。
この特例は、売却したマイホームの譲渡損失について、ほかの所得から控除(損益通算)できます。
さらに、損益通算でも控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の翌年以後3年間繰り越して控除(繰越控除)できます。
適用のためには以下の要件が必要です。
・以前に住んでいたマイホームの場合、住まなくなった日から3年を経過する日に属する年の12月31日までに譲渡すること
・譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えていること
・譲渡の年の前年1月1日から売却の年の翌年12月31日までに国内にある新しいマイホーム(床面積50平方メートル以上)を購入すること
・新しいマイホームを購入した年の翌年12月31日までに居住するまたは居住する見込みであること
・新しいマイホームを購入した年の12月31日において償還期間10年以上の住宅ローンを有すること
上記を参考に、特例が適用できるか確認してみましょう。
参考:国税庁 No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
確定申告の4つの手順
続いて、確定申告の手順について解説します。
譲渡所得がなければ基本的に確定申告の必要はありませんが、損益通算及び繰越控除の特例を適用する場合は、確定申告が必要なので参考にしてください。
確定申告の具体的な手順は、以下の通りです。
①譲渡所得税額を計算する
②必要事項を書類に記入する
③管轄の税務署に書類を提出する
④税金を納付する・還付を受ける
譲渡所得の確認から税務署への税金納付または還付までまとめたので、一つずつ見ていきましょう。
①譲渡所得税額を計算する
まずは、課税譲渡所得を算出し、所有期間の区分に応じた税率をかけて譲渡所得税額を計算します。
具体的には以下を参考にしてください。
【課税所得税額×税率(所有期間の区分で変わる)=譲渡所得税額】
課税所得税額:売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費:売却した不動産を、購入・取得時にかかった費用
譲渡費用:不動産を売却するためにかかった費用
取得費について詳しく知りたい方は、国税庁 No.3252 取得費となるものをご確認ください。
譲渡費用について詳しく知りたい方は、国税庁 No.3255 譲渡費用となるものをご確認ください。
税率については以下の表にまとめました。
所有期間の区分 | 税率 |
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 39.6% |
長期譲渡所得(所有期間5年以上) | 20.315% |
所有期間の区分は「売却した年の1月1日」時点をもとに計算されるため、注意しましょう。
たとえば、2018年10月に取得した不動産を2023年12月に売却した場合、所有した年数は5年2か月です。
しかし、所有期間の区分では「売却した年の1月1日」時点で計算されるため、短期譲渡所得となります。
所有期間が5年前後の不動産は税率が変わる境目であるため、どの区分に該当するのかしっかりと確認しましょう。
②必要事項を書類に記入する
確定申告のために必要な書類は、以下の5点です。
・確定申告書B様式
・分離課税用の申告書
・譲渡所得の内訳書
※上記は国税庁ホームページより入手可能
・売買契約書のコピー
・各種領収書
損益通算及び繰越控除の特例を適用する場合の書類は、以下の通りです。
マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 譲渡損失の損益通算・繰越控除の対象金額の計算書
譲渡損失の金額の明細書 登記事項証明書 住宅ローン残高証明書 |
マイホームを買い換えた場合の損益通算及び繰越控除の特例 | 譲渡損失の損益通算・繰越控除の対象金額の計算書
譲渡損失の金額の明細書 登記事項証明書 住宅ローン残高証明書 戸籍の附票の写し |
これらの書類が準備できたら、必要事項を記入しましょう。
まずは「分離課税用の申告書」と「譲渡所得の内訳書」を記入し、続いて「確定申告書B様式」を記入します。
国税庁のホームページに「確定申告書等作成コーナー」というサポートシステムが設けられているため、記入に迷ったら活用してみてください。
③管轄の税務署に書類を提出する
書類が整い次第、管轄の税務署に書類を提出します。
提出方法は、直接持参するほか、郵送や電子申告も可能です。
郵送や電子申告は、マイナンバー確認書類や身分証明書のコピーを添付する必要があるため、あらかじめ用意しておきましょう。
詳細は、国税庁ホームページ「申告書の提出方法」をご確認ください。
④税金を納付する・還付を受ける
書類の提出が終わったら、納税の必要がある場合は3月15日までに済ませる必要があります。
納付方法については、「国税庁 税金の納付 Q33 税金はどのように納付すればよいですか」にまとめられています。
還付される場合は、申告から1〜2か月後に指定した口座に入金されます。
まとめ
譲渡所得がなくても、特例を適用するため確定申告が必要になるケースや、具体的な確定申告の手順について解説しました。
しかし、確定申告はわかりにくく、解説した内容を1人で対応するにはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
そのようなときは、不動産売却のサポートを行っている会社へ相談することも検討してみてください。
知識が少ない状態で行うよりも、知識やノウハウのある会社にサポートしてもらうことで、安心して確定申告の手続きができるでしょう。
不動産売却・賃貸経営・土地活用などは埼玉県春日部市の合同会社莞如企画へ
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